他者目線の必要性
2019年10月6日

前回のコラムでは、創業者のビジネスアイデアのすごさに驚き、小さなビジネスだからといって、あなどってはいけないというお話をしました。

創業相談の窓口業務での別の発見として感じることがもう一つあります。
これは、コーチング手法にもつながることですが、相談に来られるたいていの人には、「答えはご自分の中にある」ということです。
もちろん、知識的なこと・手続き的なことは上記にはあてはまりませんが、どういう方向に進むべきかや、漠然としていて突破口が見つからないなどの場合は、それがあてはまります。

相談を受ける私たちは、話をうかがい、第三者として客観的に状況を把握したり、整理するフレームワークを持っていたり、さまざまな事例や数多くの相談に当たった経験があることなどから、状況に応じた助言をすることができます。

○○で業を起こしたいという人の中には、ある程度その道に詳しい方も多く、私の方が教えられることも多々あります。また、私の得意とする業界でない場合や、事前にどんな相談なのかもわからずにお話をうかがう場合も数多くあります。
しかし、ご本人のお話を聞いていくと、「明らかにこうすべきであるのに・・・」ということに遭遇する場面があります。答えが出ているのに気づいていない、違う方向で深掘りしているなど、見方を変え、修正することで答えを導くことができます。

これは創業者に限ったことではありません。私も、中小企業診断士になって初めて企業様の診断を担当させていただいた時に、どう分析すればいいか悩んでいると、大先輩の先生から一言の助言をいただき、問題解決の糸口を発見できました。その先生には「なぜそこに気づかないのか」と言われましたが、“木を見て森を見ず”ということわざどおり、全体像の俯瞰ができていない状況でした。
思い込みや1点のみに固執して物事を考えていると、全体像を見渡すことを忘れて枝葉のことに終始し、大切なことを見逃したり、いつの間にか本筋から離れて考えていたりします。時々、客観的な見方ができるよう、また、視座を変え、多面的に検討するためにも、他者の意見に耳を傾け、アドバイスを受けることも必要です。

また、第三者に話すことで、自分自身に気づきが生まれることや、思っていることが整理できることも、他者目線の活用の利点としてあげられます。
私が相談をお受けする場合は、やりたいことがぼんやりして具体化していなかったり、どうお客さまを設定すればいいのか、事業コンセプトをどう組み立てればいいのかといった、事業の柱となる部分を設計するステージでの相談が比較的多くあります。その説明をされている最中に、時々、ご自分で「あっ!そうだったのか」と気づかれたり、「なるほど、そういうこと!」と納得され、改めて理解されたりします。
もちろん相談時は、話の筋道を整理し、内容を引き出しやすくするようにしていますが、ご本人が言葉にしたり、人に説明することで理解が深まることはよくあります。

三つめの利点としては、あたりまえで言わなくてもいい、言うことがはばかれると思っていることが、他者に話すと特殊なこと、納得感が増すことがあり、それをわざわざ言うことでお客様にとってプラスの情報になることがあります。
以前、植木を扱ったことのない事業者さんが、事業を始める時に「自社の植木は仕入れた時に根を洗浄し、虫をつかなくしている」と話した時、「素晴らしい!なんという顧客志向!」と感動したのですが、その後、専門的に長年扱っている事業者さんに聞くと、ある程度信頼のある業者間ではあたりまえの作業だとうかがい、「そんな素晴らしいことをなぜ言わないのか」と話したことがあります。
とことん他者目線を活用し、業界やいままでの常識を疑うことも必要です。

さまざまな場面で他者目線を意識し、思考を研ぎ澄ますことに注力すると、新たなヒントが見つかるかもしれません。
他人の目線で、がっちり!?

大西眞由美氏の写真

大西 眞由美

Mayumi Onishi
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