低空戦
2020年11月3日

先日、ある新聞でバドミントン男子ダブルス日本代表の園田啓悟さんと嘉村健士さんが紹介されていました。
私はバドミントンにはこれまで縁がなく、試合を見たこともなかったので、読み飛ばしかけたのですが、「ともに169センチ『低空戦』の先駆者」という見出しに惹かれてその記事を読みました。

 

ご存じの方も多いと思いますが、バドミントンは1.5mほどの高さのネットをはさんで、ラケットで羽根(シャトル)を打ちあうスポーツです。背の高い選手の方が、より高い打点から角度のあるスマッシュが打てるため、一般的には有利と言えます。
しかし、記事の見出しは「ともに169センチ」とあります。上背がない選手が海外の大柄な選手とどう戦っているのか?興味がわいて、早速、ネットで試合の動画を検索して見てみました。

 

動画を見ると、「低空戦」という表現どおり、2人がネットすれすれの低くて速い弾道のラリーで海外の選手と渡り合っていました。山なりのシャトルを返せば、すぐに相手のスマッシュの餌食になるところです。しかし、2人はシャトルが1秒間に2、3往復するような高速ラリーに持ち込み、ポイントを重ねていきます。

 

記事によると、2人が初めてペアを組んだのは中学3年生の時で、「低空戦」歴は16年になるそうです。上背がない分、構えた時に目線がネットの高さに近いため、低空戦に活路を見出したとのこと。現在は日本勢最高の世界ランキング4位(2020年9月時点)につけています。

 

さて、このように一見「弱み」に思える特徴を、視点を変えて伸ばすことにより「強み」に転じた事例は、経営においても散見されます。事実は事実として、それをどう捉えるかによって、企業の経営は変わってくるものだと思います。

井上 陽介

Yosuke Inoue