変革ルートマップ
2021年7月27日

 会社を良くするためには、まず自社の状況を冷静かつ客観的に理解することが大切です。

 そのためには、そもそも自社がいい経営ができているのかどうかということについて関心を持つ必要があり、そういう関心を持って初めて、例えば同業他社と比べて自社の経営状況を理解したりできるようになっていきます。

 経営を良くする、つまり会社を変えるためにはこのプロセスを踏むことが必要です。
 人でいえば、自分の服装や身嗜みに関心を持つのと同じようなものでしょう。ただ、残念なことにこの点に気づかず、”ただ昨日と同じように懸命に仕事をしているだけ”という会社も多いです。

 

 ところで、今日の本題はこの後の話、自社を良くしたい、変えたいと思えるようになった会社についてです。
 変えたいと思ってもなかなかうまくいかない場合は、必要な手順を押さえることができていないことが原因かもしれません。
 何事も基本があり、その基本を学び、真似することが成果を出すための早道であることが多いものです。

 

 会社を変える際の基本となる手順としては、5つのステップで説明することができます。
 皆さんの会社では、こうした手順を踏むことができているでしょうか。

 

 第1のステップは、経営者や経営幹部が「正しい変革意識を持つことと、その意識に基づいた行動をとること」です。知行合一という言葉があります。変える必要があるという認識が日々の行動にも表れていることが大切です。

 

 第2のステップは、「変えることについて、発信し続けていること」です。その際に大切なことは、大きな声でしっかりと発信し続けることです。大きな声でというのは例えです。しっかりという点は、中身があることと理解してください。最後のし続けるは文字通り、諦めないないで続けるということです。

 

 第3のステップは、「適切な伝え方を用いていること」です。何度も危機を煽るようなことや、ネガティブな表現ばかり使うといったことは避けたいものです。以前、自動車メーカーのマツダを研究したことがあります。同社では、会社を変えるために常に、「内角高めのストレート」というキーワードを使って、社員に徹底して伝え続けたといいます。これなどは、適切な伝え方の好例でしょう。

 

 第4のステップは、「社内の意識が変わりつつあるかどうかを正しく見極め対処する」という点です。全く変わっていなければ、上記の3つのステップのいずれかに問題があると考えましょう。この場合、次の最後のステップには進めず、会社を良くしたいという思いは泥沼に取り上げた車のようになってしまうことでしょう。

 

 最後の第5のステップは、「適切な①戦略、②仕組みを構築すること」です。

 

 第1から第4までのステップは、経営陣と社員の心を束ね、そして心を燃やすためのステップです。第5のステップは、その熱い心を正しい方向に向かわせるためのステップです。
 私は個人的に、この5つのステップを、「変革ルートマップ」と呼んでいます。
 ぜひこの「変革ルートマップ」を、皆さんの会社でも試していただきたいと思います。

 

伊藤 康雄

Yasuo Ito