成功する人、成功する組織 ①
2022年2月7日

この仕事をするようになって、早や15年がたちました。この間、数多くの人や組織を支援してきました。
コンサルティングの現場では経営者や社員の方と向き合い、経営知識や仕事の進め方などを私なりに、相手の方のためになることだけを考えお伝えしてきました。また、研修やセミナーといった場でも、形式は違えど、常に相手の方のためになることだけを考えお伝えしてきました。

 

こうした経験を積んできて、成長する人、もしくは成長できる人の姿が自ずと見えてきているところがあります。成長の条件といってもいいでしょう。
その条件を、ここでは4つ挙げてみたいと思います。

 

第一の条件は、「素直であること」です。これには多くの方がご賛同いただけるのではないでしょうか。例えば、私は例年、約半年間に亘る新入社員研修の最初と最後を担当させていただいています。その間にはずいぶんな時間があるので成長の度合いがよくわかるのですが、多くの場合において、最初に素直だなぁと思った人は半年後にしっかりとした笑顔で、よりたくましく挨拶ができるようになってくれていたりします。

また、つい最近も中小企業診断士の後輩を育成するプログラムの講師を半年間務めていたりしたのですが、このプログラムにおいても同じです。素直に講師の言葉を受け止めることができた後輩たちは総じて評価点が高かったし、仮に今はさほど評価点が高くなかったとしても、今後の成長を期待させてくれる人ばかりです。

 

素直であることの利点は2つあるといえるでしょう。
一つは、すべてを受け入れることができるということです。受け入れたことを取り入れ、さらに活用するかどうかはあとから考えればよいだけのことです。まずは、ちゃんとすべて受け入れ、自分なりにスクリーニングするというプロセスを踏めることが大切です。
一方で、素直でない人は初めからバリアを張ってしまって、本来ならばその人にとって必要だったり大切だったりすることまでをシャットアウトしてしまっている可能性があります。往々にして、自分の好みにあったことや耳障りのいいことばかりを取り入れてしまうので、過去の自分と同じことの繰り返しだけで終わってしまい、成長につながらなくなってしまうのです。

 

もう一つは、教える側の気持ちの問題があります。相手が誰であれ、斜に構えた人に教えるよりも素直に受け入れてくれる人に教えるほうが楽しいものです。だから、気持ちの入り方や乗り方がどうしても変わってきてしまいます。人間のすることだから、致し方ないところでしょう。
また、好意をもって接してくれた相手には、こちらも好意をもってお返しをしようという気持ちが知らずのうちに働くことが知られています。

 

成功する人の条件の第二は、客観的な広い視点をどれだけ持てるかどうかです。
こうした視点を持てる人であれば、「ここでこの講師がこんなふうに厳しいことを言うのは、自分に〇〇が足りないからか、もしくは〇〇といった背景があるからなんだな」といったことや、「この大切な学びの場を設定するために、どれだけ多くの人が、どんな思いで事前に準備してくれているのだろうか」といったことを、自然に理解することができます。
だから、その教えの場の価値を正しくより深く理解できるので、学びに対して謙虚かつ真剣に向き合うことができます。こうした人からは自然と、感謝の言葉が口をついてでてくるのも、特徴的です。先にあげた後輩支援の現場でも、こうした場面に接することができて、それはそれでまた嬉しく思えるものでした。
一方で、こうした視点を持たないというか持てない人は、小さな自分ひとりの殻の中に閉じこもったままです。その結果、いつまでも自己中心的な言動や他責の傾向が強くみられることもしばしばとなってしまいます。

伊藤 康雄

Yasuo Ito